社長の『社外戦略担当役員(CSO)』の役割を

新入社員の給料以下で価値提供する!

キャッシュフロー経営導入支援パートナー
丸山です。

冒頭の図は

「キャッシュフロー経営」を導入されている

中小企業の会社の社長が経営目標を描いたり、

業績を社員と確認、改善する時に使う

「お金のブロックパズル」です。

数字が大きく、複雑な経営指標の上場企業でも
お金のブロックパズルを使えば、簡単にポイント
は読み解けます。

中華そば「日高屋」の100年先の夢

とある団体が主催した経営者交流会で記念講演を
された日高屋((株)ハイディ日高)神田正会長
の講演内容と日高屋の業績推移をお届けします。

ー神田会長の講演要約ー

◎極貧の幼少時代からラーメン屋を起業する

埼玉県高萩村(現:日高市)に幼少時代を送った
会長は、父親が傷痍軍人だったため働けず母親が
会長と兄弟の父親代わりで懸命に昼夜問わず
働きづめだったそうです。

それでも、貧しい生活を余儀なくされ、大変な
幼少時代を送られたようです。

ですから食にこだわりがあったのか、何とか学校
を卒業して、いくつかの職を転々として大宮に
小さなラーメン屋を起業しました。

時代は高度経済発展期に移行する前夜という頃
しょうか、日本人みんなが懸命に働いていた時代
ですね。

ラーメン屋は夜間営業がはやり、弟を呼び寄せ
従業員を雇い経営のコツを掴んだようです。

◎時代に乗り多店舗を展開する

大宮での店舗は盛況で、近隣への役所への営業で
昼間は出前、夜は残業後の会社員で盛況だった
そうです。

特にラーメンで修行を積んだ分けでも無い会長は
お客さんに「なぜ、ウチの店に来るのか?」
聞いていたそうです。

すると「他に食べられる店が無い」が大半でした

今みたいにコンビニやファミレスなんてありません
からね。

それで、同じ様な立地に多店舗展開を計り
それが、今の日高屋の原型になったようです。

◎株式市場から資金調達し多店舗展開を加速する

飲食店はある一定の多店舗展開を行なうと限界が
来るそうです。

資金調達や人の問題だと思いますが、会長は
更なる多店舗展開に銀行から借入に頼るのでは
無く、株式市場(当時はジャスダック市場)に
上場を果たしました。

今で言うIPOですね。
ハイリスク、ハイリターンを敢えて選択して現在
の様に首都圏に続々と店舗を増やしていきました

◎神田会長の100年先の夢

現在、御年82歳の会長には、まだまだ夢が
あるようです。

先ずは、今まで頑張ってくれた社員に会長保有の
株式を分配しているそうです。

これには、驚きました。そのような経営者は
聞いた事ありません。

会長曰く、この歳になると、私利私欲も無くなり
社員への感謝とこれからの夢を託す事が会長の
想いの様です。

その夢は、

・店舗数が少ない北関東のちょっと寂しい県道
沿いに店舗を増やし、雇用を生み出し、夜間営業
で電気を付けておく事で周辺の治安にも貢献する

・全く手つかずの中部、関西方面にも攻勢を掛ける
一方、東北は仙台くらいまで店舗を増やす。

・飲食店業界でNO1の餃子の王将と肩を並べる
(現在日高屋は業界2位)

「これらが、叶うのを星になって見守りますわ」
と最後に笑みを浮かべながらお話になりました。

コロナからの復活!日高屋の業績ブロックパズル

神田会長の講演を聞いて感動したので、業績は
どうなっているのか、同社の有価証券報告書から
ポイントのみ図にしました。

飲食業なので、コロナの影響があったのは、私の
他のブログ(吉野家、ワタミなど)から想像に
堅くないですね。

では、コロナ前~直近のアフターコロナまで図で
見ていきましょう。

 

回復の具体的内容は、同社の有価証券報告書の
記載に譲るとして、コロナ禍と直近での業績推移
をキャッシュフロー健康診断で見てみましょう

・売上高

コロナ前の売上は422億円でした。
コロナ禍は296億円と30%減と凄まじい
落込みですね。

緊急事態宣言で強制的に休店や営業時間短縮で
飲食店業界全体が落込みました。

 

・粗利率

コロナ前は72.5%で飲食業で優秀ですね。
吉野家ホールディングスが60%台半ばです。
ただ、コロナ禍でもあまり率が落ちていません。

これは変動費をコントロールしているからです。

このコントロールは緻密な分析と経営の意思決定
が効いている証拠ですね。

私もコロナ禍に近隣の日高屋にラーメンランチに
よく行きましたが対策が目に見えて分かりました

先ず値上げです。
次のような但し書きが店舗に貼ってありました。

『原材料の高騰等で一企業では対応が難しく
なりました。お客様には値上げのご理解を
お願いします。』

変動費対策は、「大盛り無料の有料化」です。

確か日高屋でラーメンを頂くと、大盛り無料券を
配布していました。

私もよく使用していました。
これで、リピーターを確保するのですね。

店としては、その分変動費が多く掛かります。

無料を廃止すれば、客足は減るかもしれませんが
誰もが大盛りを食べるわけではありませんので
粗利率は向上します。

また、大盛り無料券を廃止すれば、経費削減に
なり営業利益直結となります。
(図のその他の部分)

 

・労働分配率

コロナ前は46.1%で、よくコントロールされています。
コロナ禍では、50%台後半となっています。

これは、粗利額が減少しているので率が上がって
しまうのですね。

人件費予算もコロナ禍から減少しています。
緊急事態宣言で休店した分、時給が下がっている
のでしょう。

ただ、それは雇用調整助成金で国から補填される
ので、「営業外収入」となります。

見かけは、会社が払う人件費は下がっていますが
実際には助成金で補填している可能性があります

・営業利益

コロナ前は41億円の営業黒字で、コロナ禍は
一転して28億円の赤字です。

その落差は69億円となり、凄まじい落込みです

繰り返しになりますが、飲食店業界全体が、
同じ現象だったと思います。

直近では、6億円の黒字を計上しています。
「あっぱれ!」ですね。

 

・キャッシュフロー

コロナ前は128億円の現金同化物を保有して
いました。

コロナ禍で69億円まで落込みます。
約半分のキャッシュフローを失う事になります。

ただ、その後100億円近くまで回復しています。

業績の回復で営業キャッシュフローが改善されて
いるのでしょう。

・自己資本比率

驚くべき高率の自己資本比率です。
超優良だと言っていいでしょう!

最後に、神田会長の講演日に、会場近くの日高屋
でラーメンランチをしました。

食事を運んで頂いた女性に会長の写真付チラシを
見せたら、「あっ会長!」と言われました。
その方は社員かパートか分かりませんが、
愛されているのですね。

私は新規クライアント先に先ずこの作業を社長と
行い、現状の課題点と原因をあぶり出します。

原因が明確になれば、今後の対策は簡単に
見いだせます。

大企業でも中小企業でも、同じです。

 

■今日の質問

あなたは過去の業績推移を見える化してますか?
見える化した事から対策の立案をしてますか?

お読み頂きありがとうございました。

 

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投稿者プロフィール

丸山 一樹
丸山 一樹
丸山未来経営研究所(経産大臣認定 経営革新等認定機関) 所長 /大手自動車部品メーカーを経て独立。中小企業の社長の「ビジョン」を言語化し経営数字で裏付けするキャッシュフロー経営導入支援が専門。
社長の「社外NO2」の役割を新入社員の給料以下の報酬で意思決定に関わるキャッシュフロー経営導入支援パートナーとして活動中。