旧国鉄から見放された千葉県のローカル線
「いすみ鉄道」の驚くべき復活秘話。

廃線の危機から救った乗り物好きの
中年おやじ社長の「脱常識経営」のシンプルで感動のお話をご紹介します。

 

進路を真逆に取れ! いすみ鉄道逆転の発想

脱常識経営!

「いすみ鉄道復活秘話」

~赤字ローカル鉄道 廃線危機からの脱出~

と言うタイトルで いすみ鉄道株式会社 社長 鳥塚亮氏の
講演を聞いて来ました。

中高生が聞いても分るような、とてもシンプルでユーモアに富み
再現性のある経営手腕でした。

その一部をご紹介します。

旧国鉄がJR各社に分割されて久しくなりますが、
全国には赤字により、廃線を余儀なくされた路線が沢山あります。

その中の一つで、千葉県は外房にあるいすみ鉄道も廃線の危機にありました。

2009年に民間からの公募社長として、ダメ元で応募した鳥塚亮氏は、
元々子供の頃から乗り物好きで、将来は新幹線の運転士になりたかったそうです。

しかし国鉄赤字による採用中止で断念し、航空会社に勤務し
マネージャーにまでになりました。

しかし鉄道への夢が諦められず、いすみ鉄道存続を賭けた公募社長に応募。

数百人の応募者の中から見事選ばれ、現在もいすみ鉄道の社長として
ユーモアな経営手腕を振るっています。

社長に選ばれた当時の鳥塚氏はある言葉を引用し、座右の銘にしたそうです。

それは

「同じことを繰り返しながら、違う結果を望むこと、それを狂気という。」

Insanity: doing the same thing over and over again and expecting different results.

アインシュタインの残した名言の一つです。

これを軸にブレなく、いすみ鉄道を復活させようとしたのですね。

同じことを繰り返す国の方針

全国の廃線の危機にあるローカル線は、国の提案として
路線バスを受け入れるようになったそうです。

当然地域運動も起こります。

よくテレビで「廃線反対!」 「住民の足を奪うな!」みたいな
垂れ幕を見たことがありますよね。

ネガティブな国対自治体、住民運動となり、結局バス路線を受け入れてしまった
路線が全国に86線あるそうです。

その殆どの地域は「地盤沈下」を余儀なくされているようです。

ですから、鳥塚社長は「路線バス」の提案が来た時は断固拒否したそうです。

発想の転換。 解決策は目の前にある

では、どうしたらいいのでしょうか?
お金と時間は限られています。

鳥塚社長が気づいたのは、無人駅を一生懸命に
清掃する地域住民たちでした。

地域住民の皆さんは、いすみ鉄道と共に育ち、
いすみ鉄道と共にあるのです。

地域住民を見方につけた、鳥塚社長は沿線の草取り、
菜の花や桜の植樹に無償で協力してもらったそうです。

房総半島は温暖な土地なので、3月に入ると菜の花が咲き始めます。

これを写真にとりネットに流すと、観光客が来始めたそうです。
春を先取できますからね。

それに、触発され住民による餅つき大会が開催され、
観光客に無料で振舞われその観光客がSNSにアップし、
情報が拡散されるのです。

そして、いすみ鉄道を黒字化した最大の集客アップ策は「ムーミン列車」でした。

と言っても資金に余裕が無い、いすみ鉄道は
列車のボディにムーミンのシールを貼っただけでした。

いすみ鉄道沿線は本当に何も無い野原、山あいを走行するので
都会から来た人はここを「ムーミン谷」の様に見えるのでしょうね。

0円広告で更なる集客を全国区に

鳥塚社長の狙いはマスコミが取材してくれる事でした。
しかも無料で。

最初はつてで、雑誌とテレビ東京の取材へと広がり、
やがてドラマの撮影やぶらりローカル線の旅番組に取り上げられ
超有名俳優さんも訪れました。

これで全国にいすみ鉄道が拡散され、次に旧国鉄車両昭和40年製の
ディーゼル車をJRから残存簿価で手に入れました。

この情報も拡散し、全国から鉄道マニアが訪れるようになったのです。

先ほどのムーミン列車は女性客中心。
ディーゼル車は男性客中心。

これを鳥塚社長は「商品の品揃え」と言っています。

いすみ鉄道を想う本当の理由

鳥塚社長が最後に話してくれたのは、単に乗り物好きの道楽で
社長に応募したのではなく、やはり本当の想いがありました。

それは、鳥塚社長が15歳位の時に先ほどのディーゼル車と
一緒に写った写真でした。

50歳後半となった今JRから購入したディーゼル車と
当時と同じポーズの写真を見せてくれました。

人間は子供の頃に好きだと思った事や場所にいつか帰ってくるだそうです。

ですから、駅舎を清掃してくれる中学生や、車内でマンドリン演奏をしてくれる
高校生たちは、やがてこの地を離れる事になりますが、
いつかは帰ってくると信じているそうです。

「人に誇れる故郷があると、立派な大人になるはず」が鳥塚社長の持論でした。

私も高校生時分に川越線で使われていたディーゼル車に数回乗った事があります。

とても懐かしく、この世から消えたと思っていました。

いつか、いすみ鉄道を訪れて時空を超えた想いに馳せたいと思ってます。

投稿者プロフィール

丸山 一樹
丸山 一樹
丸山未来経営研究所(経営革新等認定機関) 所長・非特定営利法人 日本経営士協会 首都圏支部役員 /大手自動車部品メーカーを経て独立。中小企業の社長に「ビジョン」の言語化と「キャッシュフロー経営」を用いて実現を後押しする。
社長の「社外NO2」の役割を新入社員の給料以下の報酬で意思決定に関わるキャッシュフローコーチⓇとして活動中。