「脱★下請け経営者への道」は毎週月曜日に更新します。

 

お楽しみに!

 

第3章でこれからの下請け会社の理想の姿をご紹介しました。

 

それはTOPであるあなたが「信念」を明確にする事でしたね。

 

脱下請けになるには?

本章では、脱下請けに挑む具体的事例を紹介します。

 

自社の強味に気づき新たなマーケットを開拓した2代目社長の物語

 

埼玉県西部にある零細企業である畑中という、

 

食品サンプルを製造している会社があります。

 

最近私も気づいたのですが、近頃のレストランは店舗の入口に

 

ガラスケースを設置し、そこに店の食品イメージを飾った

 

「食品サンプル」から、美しく撮られた写真に変わってきています。

 

昔ながらのラーメン屋の入り口付近のガラスケース内に置かれた

 

ラーメン・コカコーラなどはめっきり減りました。

 

ですから食品サンプルを製造する会社も受注が減り環境は悪いそうです。

 

この会社は2代目社長の決断で従来の食品サンプルから

 

食品をベースとしたカチューシャ、ヘヤバンド等の

 

FAKE FOOD」とネーミングされた商品化を行った。

 

当時は初代社長から仕えて来た古参の職人の反対にあい、

 

離職する職人がいたそうですが社長の想いが伝わり、

 

若い社員を中心に、今ある技術を改良し、下請けビジネスである

 

「食品サンプル卸」のマーケットからBtoCのダイレクトビジネス

 

「アクセサリーマーケット」へと舵を切ったのです。

 

現代はネットの時代なので、差別化された商品をそれを欲しいと

 

潜在的に感じている見込み客に直接興味を引かせ、

 

購入に繋げる事が出来る時代となりました。

 

今では自社のサイトを通じて海外からの注文もあり大盛況のようです。

 

この2代目社長は、本業で培ってきた技術を変える事なく、

 

理想の状態を描き、現状の課題と向き合い、

 

新しいマーケットへチャレンジしたのですね。

 

価格も1個数千円と比較的高いのですが、

 

二ッチなマーケットでそれを欲しい人には売れるのですね。

 

粗利率が改善されキャッシュフローも良くなる事は言う間でもありません。

 

異業種交流から気づいた脱下請けに挑む3代目女性社長

 

静岡県三島市に拠点を置く、主に自動車向けカーコンプレッサーを製造する

 

アルミダイカスト専門メーカーの三光ダイカスト工業所と言う、

 

社員数130名のいわゆる自動車部品下請けメーカーがあります。

 

その3代目の三宅ゆかり社長は、元々美容業界に身を置き、

 

自動車部品とは縁の遠い存在でありました。

 

そんな中、2代目社長の急な難病により僅か3ヶ月で会社を継ぐ事を決断します。

 

就任当時は苦労の連続だったそうです。

 

営業活動がなされず、売上が半分に減少している事でさえ社員には認識が薄く、

 

打開しようにも就任間もない美容業界から来た三宅社長に、

 

社員の信用度は低くかったのです。

 

殆どが女性の職場であった前職に比べ、男性社員が多い工場では

 

コミュニケーションを一つ取るのにも一苦労の毎日であった事は

 

想像に難くないですね。

 

現場を巡り、現物に気づき、現実を知る

 

就任当初は会社に溶け込む事に専念していたが、

 

ある日工場全体の汚れに気が付きます。

 

製造業には当り前の5S活動(整理、整頓、清掃、清潔、躾)が

 

全くなされてなかったのです。

 

就任当初の自分が頭ごなしに社員に言っても聞きいられる状況で無い事は

 

判っていたので他の解決策を模索するようにしました。

 

工場では製造過程で発生する「廃材、余材」がそこら中に溢れていました。

 

これら廃材、余材の形を見て、何かアクセサリーの様な物を作れないか?

 

社員に5Sの大切さに気づいてもらうつもりで話をしたが

 

全く話にならなかったと当時を語ります。

 

スチームパンクとの出会い

 

三島商工会議所の常議委員だった三宅社長は地元三島のコトリスラボという会社の

 

新事業のプレゼンをたまたま聞く機会がありました。

 

その会社の女性社長の子育てや家庭を持っている女性のクリエーターを集め

 

彼女らのためにシェアオフィースを始めたプレゼンに感銘を受け、

 

意見交換の場を持てたと言います。

 

そこで三光ダイカスト工業所の工場見学をする運びとなったのですが、

 

訪れた女性クリエーターの一人が

 

「この工場自体がスチームパンクだ」

 

と発した事がきっかけとなります。

 

最初はその意味が解らなかったのですが、クリエーターの力を借り、

 

三宅社長自身も勉強をしました。

 

スチームパンクとは、産業革命当時の英国のイメージで

 

蒸気機関をモチーフにしたSFジャンルの一つです。

 

近未来的なファッションや造形が特徴でアニメ

 

『天空の城ラピュタ』にも登場します。

 

チーム「スチームパンク」を結成する

 

「これはいけるかも」と確信した三宅社長は社内で、

 

スチームパンク・プロジェクト創設の話をしました。

 

最初は三宅社長の話にあきれ返っていた社員たちでしたが、

 

自動車業界の今後の厳しい現実を熱心に語り、常識に囚われず、

 

強みを活かす取組の重要性を説いたところ30代の若手社員中心に

 

10名程が名乗りを上げ、少しづつプロジェクトが動き始めました。

 

なにせ正確な図面を基に寸法通りにキッチリ造る事しかやって来なかったため、

 

廃材や余材を基に何かを造ると言う今までの仕事の進め方とは真逆な作業に

 

挫折感もあったという。

 

しかしプロジェクトの生みの親でもある女性クリエーターが

 

デザインを描き、それを基に職人系男子が試作品を造るセッションワークが

 

結成され、この異業種セッションは時に深夜まで上る事もあったそうです。

 

それはもはや会社の業務命令でやっているのではなく、

 

自ら行動し、まるで工作に夢中になる少年にも見えたと言います。

 

こうしてスチームパンク・プロジェクトは軌道に乗り、新宿でのブース出展

 

テレビ東京「ガイヤの夜明け」(11月1日放送)でも取り上げられる事になりました。

 

脱下請け経営環境への対応

 

スチームパンク・プロジェクトは始動したばかりで、

 

今後はいかに継続出来るかが課題となりそうです。

 

引き合いも相当数来ているが、ビジネスモデル確立はこれからの様です。

 

三宅社長の想いは、最初は「出来ない、無理」と言っていた若手社員が

 

一つの事を成し遂げる力がついたのと、何よりの成果は危機感の無い社員との

 

距離感がぐっと縮まった事だと語っています。

 

今後は自動車産業の変化に注視しながら、

 

元請依存に頼る事のない本業の発展を育てる事が課題だと

 

ビジョンを語ってくれました。

 

生産年齢人口が今後減少し、需要と供給のアンバランスが

 

本格的に始まる後経営環境変化へ本業の技術を守りながら、

 

脱下請けのアイデンティティ確立に果敢にチャレンジしている具体的な事例ですね。

 

これからの下請の姿は、第3章でご紹介した事の繰り返しとなりますが、

 

TOPである社長が信念を明確にして、

 

ビジョンを社員に語り、

 

ビジョン実現のための課題解決に

 

行動を起こすミッションを胸に抱く事だと思います。

 

そうなれば三光ダイカスト工業所の社員の様に自走式に組織が始動し始めます。

 

〇本日の問い

 

あなたは本業で培った技術を未来にむけて何に活かしたいですか?

投稿者プロフィール

丸山 一樹
丸山 一樹
丸山未来経営研究所(経営革新等認定機関) 所長・非特定営利法人 日本経営士協会 首都圏支部役員 /大手自動車部品メーカーを経て独立。中小企業の社長に「ビジョン」の言語化と「キャッシュフロー経営」を用いて実現を後押しする。
社長の「社外NO2」の役割を新入社員の給料以下の報酬で意思決定に関わるキャッシュフローコーチⓇとして活動中。